テロリストとは誰か?

オサマ・ビン・ラディンは富豪であることがよく知られているが、テロの根底に貧困問題があるという説には、今後なお一層の疑問が投げかけれることになるかもしれない。テロリストたちは、むしろ、平均的な人々よりも特権的階級に所属しているのだと見るのが…

Take Back The Faith

政治の分野でケーススタディになりそうなモデルを考える時、アメリカの二大政党制が参考にされることが多い。現野党の民主党にとって、喫緊の課題は如何にして「信仰を取り戻すか」にある。ホワイトハウスと議会の両方を掌握した共和党は、民主党員たちは信…

核兵器

日韓を対象に「安全保障のため米国の核兵器の力に頼ることが必要か」と聞くと、 韓国で「必要」47%と「そうは思わない」48%が並び、 日本でも「必要」39%が「そうは思わない」48%に接近する。 さらに韓国では、52%が今後自国が核兵器を持つこ…

Irving Kristol

ポール・クルーグマンが鋭い視点から宗教右派の及ぼすアメリカへの悪影響を論じている:科学でさえも、イデオロギーに左右されてしまうという弊害が、それである。クルーグマン曰く、ネオコンの祖たるアーヴィング・クリストルは、同時に、「インテリジェン…

江戸期の公吏

江戸中期は、アジア史では異常な社会だった。封建制をとりつつも、同時に沸騰した商品経済をあわせもっていた。[・・・]官吏・公吏の人数がこれほど過剰な社会は世界史になかった。 はるかな後年、[・・・]明治六年(一八七三年)現在の士族の数は、戸数にし…

America's religious right

アメリカの宗教右派の影響力の測定を、The Economist誌は客観的に行っている: Liberals regularly contend that one of America's two great parties is bent on creating a theocracy—backed by a solid core of somewhere between a quarter and a third …

教科書問題

日本でも自治体レベルでつくる会の教科書が採択されるなど、イデオロギーや党派性をどこまで教育に反映させることが許容されるべきなのか、論議の機運が高まりつつある。 アメリカでも、教科書・カリキュラム問題の議論が生じている:キリスト教的な価値観を…

階級社会?

USA

日本で「一億総中流」の幻想が崩れるのに合わせて、アメリカの階級分断を指摘する話を時々耳にする。アメリカで貧富の差が拡大しているのだから日本でもそうなって何が悪いのだ、というロジックを構造改革賛成派は用いる。対して、平等志向の強い守旧派、──…

ヨーロッパのイスラム過激派

The Economist誌の記事によると、イスラム過激派のセルフ・リクルーティングのメカニズムは、一層把握しがたいものになりつつあるという。だが、そこにも幾つかの典型的なパターンが見て取れるのだとも言われている。一般に、第二世代のムスリム教徒は、女性…

:アフリカと宗教右派

一昔前、貧困の撲滅と人権問題に熱心に取り組んでいたのは、リベラル・左派陣営であった。ところが昨今指摘されるところによると、いまや、そうしたアジェンダの担い手は宗教保守的な右派によって担われるようになっているという。 In 1900, 80% of the worl…

主体思想

クリストフは、主体思想が崩壊せずに存続しているのは、とても奇妙なことだと述べている: Q. 5. Do the people of North Korea have any idea how much food and fuel oil comes from international donors? If they do know, how is it justified in light…

北朝鮮

クリストフは、北朝鮮を国際社会に組み込むことこそが、核問題や人権侵害を解決するための近道なのだと説く。 So can anything be done to help North Koreans? Yes, if liberals stop ceding the issue to conservative Christians. Ultimately, the soluti…

:イスラム

ヨーロッパのムスリム人口は、2000万人にものぼるのだと言う。 Source:In Europe's midst Jul 14th 2005 ロンドンでのテロの後、ムスリムに対する風当たりは各国で厳しいものになっている。オランダやフランスではもともとムスリムとの共存が社会問題となっ…

LoJackとClub

USA

Nicholas D. Kristofは6月28日付のコラムの中で、2つの種類のセキュリティシステムを対比させつつ、真に有効な制度設計への哲学を問うている。 Source: To Catch a Thief The LoJackと呼ばれる最新鋭の車体盗難対策システムは、車を犯人に「盗ませる」こと…

ネット右翼の文法【4】

下の記事中の石原発言をめぐって、あちこちで噴きあがっているようだ。保守派の思想基盤を鍛えあげることを課題とする我々としては、ここで考えてみたい:どんな噴きあがり方が適切な噴きあがり方であるのか、と。 石原慎太郎都知事は27日、東京都議選の告…

Birth Tax

日本では国民1人あたりの国の借金がおよそ700万に近づいていると言われているが、アメリカのそれは──Birth Taxと仇名される国民の借金は──『新生児』一人当たり1600万円を軽く越える見込みであるという。 three-fourths of our new debt is now being purcha…

:自閉症

自閉症のアメリカでの発症件数の増加ぶりが目覚しい: Diagnoses of autism have risen sharply in recent years, from roughly 1 case for every 10,000 births in the 1980's to 1 in 166 births in 2003. Source:June 25, 2005 On Autism's Cause, It's P…

ファスト風土化?

冷泉彰彦氏は『from 911/USAレポート』第204回のなかで、三浦展氏の『ファスト風土化する日本』についての読後感を語っている: [・・・]この本全体としてはあまり愉快な感じがしませんでした。まず、東京の視点からそこまで「地方」を全否定するよ…

:ネット右翼の文法【3】

エントリーのタイトルのなかに「ネット右翼」という言葉が含まれていることは印象操作にあたるとの指摘をいただいた。 筆者としてはネット上での長文は読むに耐えないと思っている。そのせいもあって、なるべく簡素に内容が把握できるような工夫の一環として…

:フランスを笑えるのか?

USA

フリードマンは、EU憲法の批准を否決したフランスの姿をあざ笑うアメリカ人に警鐘を鳴らしている:アメリカ人自身が、当のフランスがNonを投じたその同じ理由で保護貿易を擁護するきらいがあるのだと彼は言う。 The McKinsey Global Institute just publishe…

:ローマ帝国【4】移民・外国人

移民をどう受け入れていくか、あるいはそもそも受け入れるべきなのか否か、日本でも議論の機運が高まっている。当ブログ執筆者としては「移民の大規模な受け入れは好ましくない;それでも受け入れないシナリオのほうがよほどの悪夢である」という立場を採っ…

:子供をもつ動機

ドラマ「瑠璃の島」の第五話のなかに、つぎのような台詞が出てくる:「好きな人の子供だから、このお腹の子を産みたい」のだと。当事者カップルの男性側は、その会話の時点では出産にも──そして認知・結婚にも──積極的ではない。劇中、井川遙演じるこの女性…

:ネット右翼の文法【2】

おとなり日記経由で、非常に出来のいいブログを見つけた。ふむふむと読ませる箇所も多いのだが、時々議論を急ぎすぎて性急な一般化をしてしまっている箇所も見られる。今日の例解ではそこを取り上げてみたい。 韓国人は日本が何をしようが、すべて悪意でもっ…

:緩急あるライフサイクル

John Tierneyがまた、おもしろい発言を引き合いに出している:若者が働きづめで、老人が休み続ける、という極端なライフサイクルのコントラストは見直されてもよいのではないか、というのだ。 It would be fairer to redistribute some of this free time so…

:パキスタンの女性

Nicholas D. Kristofがムシャラフの対応について怒り続けている:レイプを告発し、それを国際的な関心事項としてアピールしようとした嫌疑をかけ、ある女性を拘禁しパスポートを剥奪するべく指示をしたというのだ。「パキスタンのイメージを守るため」とムシ…

:アテネ民主制

直接民主制のメリットや、あるべき民主主義の姿を論じる者の多くは、古代アテネを参照軸に据えることが多い。5世紀のアテネでは、政治に参加できる人口はわずか3万人強でしかなかったという: Its intricate system of self-rule by an active citizenry re…

:H G Wells

The path of social advancement is, and must be, strewn with broken friendships H G Wells 'Kipps' (1905) 社会が改善されるには、個々人の幾つもの友情が犠牲にされなければならない。日本では、まったく逆が美徳とされてはいないだろうか:個々人の友…

ネット右翼の文法【1】

現代の日本においては、右翼と靖国参拝支持層とが、ほぼ一致してしまっている。宮台真司的な意味での「右翼」概念に拠るならばこの一致は必ずしも自明なものではないのだろうが、さしあたってこのカテゴリーではしばらく、靖国参拝支持の「論理」の解析を行…

:エノラ・ゲイ搭乗員

原爆投下前の段階で、日本の生産能力の85%は破壊されていた Source:毎日新聞Web 「論理的な人間ならずっと前の段階で降伏していたはずだ」とアメリカ人は言うが、今日、彼らが世界規模で目撃しているのは「論理的」ではないテロの連鎖である。85%の生…

:米上院議員

USA

アメリカの上院議員という人種は、「普通の人間がセックスのことを考えるよりも多い頻度で、大統領になることを夢想する」タイプの人間なのだという話をどこかで読んだことがある。だが以外にも、上院議員出身で大統領になった政治家は、1960年のケネディを…