LoJackとClub

Nicholas D. Kristofは6月28日付のコラムの中で、2つの種類のセキュリティシステムを対比させつつ、真に有効な制度設計への哲学を問うている。
Source: To Catch a Thief
The LoJackと呼ばれる最新鋭の車体盗難対策システムは、車を犯人に「盗ませる」ことにその特徴がある。車が発進した後で、システムは自動的に、犯人に気付かれること無く秘密裏に、ラジオトランスミッターを使って密かに警察を召喚するのだという。
対して、従来の大音量サイレン型のthe Clubと呼ばれる防犯システムでは、犯罪は減らない。犯罪は、別な対象へと矛先を逸らされるだけなのであり、社会全体の総和として見た時、犯罪に対しての有効な手立てにはまったく成りえていない。
LoJackのシステムは車体だけでなく、たとえばコミュニティレベルでの空き巣対策にも用いることができるとクリストフは提案する。こうした発想が新鮮なのは、犯罪を、ミクロレベルでの防犯と矛先そらしによる予防から、マクロレベルでの抜本的打尽の対象として、捉えなおす糸口となりうるからではないだろうか。