:瑠璃の島

今クールに日本で放送されていたドラマ『瑠璃の島』を、DVDに焼いてもらって海外で見ていた。毎回、つい涙を誘われるプロットが組まれている。前評判を裏切って、意外な人気を集めているようだ。

"期待度"10位、"放送直後"7位から今回4位へと大きなランクアップを見せたのが、『瑠璃の島』だ。過疎化が進む南の島を舞台に繰り広げられるヒューマンドラマというテーマは、字面だけ追うと堅苦しくもあり、すんなりと溶け込みにくいような印象も受ける。そんな固定概念を払拭した最大の要素が"映像美"だ。各項目の中でも、"映像"への評価は全番組中最高に高い。島の自然と空気や海の透明感が視聴者へ強く訴えているのだろう。夏に向けて更なる上昇が期待される。
Source:YahooNews

上の記事中の分析はまとはずれだ:映像美はたしかに強力な武器ではあるが、それだけでは持続する人気を獲得することはできない。映像美だけを楽しみたいのなら、世界遺産でも見ておけばいいのだ。その美しさを相乗する、シナリオがあってこその人気だと見るべきだろう。
東京から養子にもらわれてきた女の子が、里親や、超過疎化の孤島の人々へ心を開いていくさまを描くこのドラマのキーワードは、『家族』ではないかと筆者は思っている。土地にも、血縁にも縛られることのない新たな形態の家族像をこのドラマは描こうとしているのだ。昨年度の日本において、最も高い出生率を誇ったのは、沖縄の多良間島なのだという。そしてその高出生率の原因を、母子をサポートする社会的な含意がいまだ色濃く残っているおかげだと分析する向きもある。同じ南方の小島が、高出生率と超過疎化の両極として提示されているのは、なんとも興味深い。
上の記事によると、大河ドラマ義経も好調だという。義経のシナリオでもっとも無理があるのは、なぜ、義経があれほどまでに頼朝との兄弟の縁に強い執着を抱くのか、それがまったく成功裡に描かれていない、という点にある。逆に言えば、そうしたことを疑問に付すことなく没自我的にコミットできる対象としての「家族」が、このドラマを構成する縦糸となっているのだ。