:Shades of Black / Moderate

宗派別信者の増加率

キリスト教に関する記事を2つ、紹介したい。1つはThe Economist、他方はNew York Timesからである。まず、The Economist誌の記事では、イギリスにおいてアフリカ系・カリブ系のキリスト教教会がその勢いを増しつつあることを特集している:国教会第二の地位をほこるヨークの司教に、ウガンダ出身の司祭が内定しているという話もある。
Source:Christianity:Shades of black Jun 16th 2005
大西洋を挟んだ向こう側のアメリカでも、キリスト教内部の地殻変動は生じている:現代アメリカにおいては、キリスト教は外部の異教をその戦いの相手に選ぶのではなく、しばしば、穏健派が保守派に対して違和感を表明する──あるいはその逆も──というタイプの派閥争いが活発しつつある。Moderateを自認するコラム執筆者のJOHN C. DANFORTHは、かつての共和党上院議員でもある。エピスコパル派に属す彼は、昨今の宗教右派の政治動員は、キリスト教徒の一枚岩的見解の結果ではないと、まず述べる。あきらかに共和党を念頭においた批判は、どれももっともなものに聞こえる:

  • テリー・シィアヴォ氏のケースでは、チューブを外すことこそ慈悲深い決断であった
  • ステム・セルの研究についても、それで救われる命をこそ優先すべき
  • ホモセクシュアルに対しても神は寛容なはずだ

いったい、ConservativeとModearteなキリスト教徒の違いは何に由来するのだろうか?彼は、上に述べたことはどれも、the Love Commandmentを如何に解釈するかの違いからの帰結なのだという。

  • Our difference concerns the extent to which government should, or even can, translate religious beliefs into the laws of the state.
  • In the decade since I left the Senate, American politics has been characterized by two phenomena: the increased activism of the Christian right, especially in the Republican Party, and the collapse of bipartisan collegiality. I do not think it is a stretch to suggest a relationship between the two. To assert that I am on God's side and you are not, that I know God's will and you do not, and that I will use the power of government to advance my understanding of God's kingdom is certain to produce hostility.

Source:June 17, 2005 Onward, Moderate Christian Soldiers

今日の民主党共和党の、深い断裂線の由来をも宗教的要素に見出す時代診断は、一理ある分析ではないだろうか:神の側に立っているのは自分たちであり、敵である彼らはすなわち異邦なのだという二分法によって、民主党は昨年の大統領選を過剰に負け越したのだった。
この時代診断が正しいのだとすれば、従来、キリスト教徒にただ従順に媚びるしかないと言われていた民主党の再生への戦略シナリオが、別の方向にも見だせることに気付く:ターゲットにするキリスト教徒を、Moderateな信者にすればよいのだ。そうすれば、
【A】共和党民主党
という分断線を
【B】Conservativeな宗教右派/Moderateな良識ある信徒
という対立に「翻訳」し、転換できる可能性がある。