:徴兵制

アメリカが徴兵制を廃止し、志願兵制に移行したのは1973年のことだ。以来、911以降一時的に志願者は増大したが、イラクでの失態続きの軍の悲惨な現状に失望した若者は、もはや軍に積極的に志願することはなくなっている。永住権をちらつかされたマイノリティたちが、仕方なく召集されているのだ。

Quick Review: The nation went to an all-volunteer military in 1973.

  • 2002年にブッシュ政権が出した「No Child Left Act(落ちこぼれゼロ法案)によって、全米の学校は生徒の個人情報を米軍に提出する事が義務づけられた。
    • 拒否すれば助成金がカットされるため、貧しい地区の学校はやむなく従うしかない状況だ。-戦争が悪化する中、2003年に米軍はこの新兵リクルートプロジェクトに3億3100万ドルをかけ、一年で新たに二十一万人以上を入隊させる事に成功した。
  • 民間のリクルート会社に集中的な営業研修をされたリクルーターたちは学校側から渡された情報を使い、貧しい若者たちの携帯電話に直接リクルートの電話をかけている。
    • 主なターゲットは成績の悪い生徒、家の経済的事情で大学行きをあきらめている生徒、貧困地区で荒れた生活を強いられている生徒、市民権が欲しくてたまらない不法滞在の移民たちなどである。リクルーターたちは五万ドルまでの大学の費用、入隊時に受けられる職業訓練、充実した健康保険、予備兵として戦場に行かされる確立の低さなどを強調する。もちろん不法滞在者や移民には入隊と引き換えに市民権のボーナスもついてる。 
    • ふたを開けてみると、大学費用を受け取るために実は1200ドルの前金という条件がついていたり(貧しさから逃れようと入隊した若者には到底払えない)、職業訓練といっても実社会で就職に使えない戦車の運転やミサイルの管理だったりする。-予備兵はすでに30万人もイラクに送られ、軍の病院は度重なる予算カットでスタッフ不足、衛生悪化、診察予約に3ヶ月はかかるなど、現実を知る頃には時すでに遅し。署名入りの書類が絶対的な力を持つ米国で、未来を夢見た若者たちは次々に戦場に送られてゆく。
  • 世界の富の25%を所有するアメリカ。人口二億八千三百二十三万人。国民の八人に一人は貧困状態、うち三千百万人は飢餓状態にあるSource:http://www.bosco-del-fiore.net/page015.html 堤未果 2004年 10月の活動報告